前回は、経理計画における「不採算部門や赤字事業」の対策の仕方について解説しました。今回は、マーケット分析において意識すべき「会社の強み」のポイントについて見ていきます。

まず、自社の製品・サービスを差別化する方法を考える

マーケットの分析を行う際には、どのように自社の製品・サービスを差別化するのかを考えます。その際に意識すべきは、「わが社にしかできない加工技術がある」「この地域ではうちだけが商流を築いている」などといった「自社の強み」を明確にすることです。

 

「あれもこれも」というように総花的な事業展開を続けていては、どれも中途半端な結果に終わるおそれがあります。利益の向上を図るためには、自社の強みに経営資源を集中することが求められるのです。

 

「うちに強みなんてあったかな」と思う方もいるかもしれませんが、たとえどんなに小さな会社であっても10年以上続いてきたのであれば、なにがしかの強みが必ずあるはずです。

 

強みと聞いてイメージできないのであれば、”特徴”と言い換えてもよいでしょう。たとえば、祖父やその前の代から続いてきたような旅館であれば、「建物が古い」なども特徴といえますので、それを強みとして打ち出せばよいのです。

「古さ」を「歴史」としてアピールした老舗ホテル

実際、当社が現在、事業承継をお手伝いしているある老舗ホテルは、建物が100年以上の歴史を持っており、天井や柱には様々な古木が使われています。後継者はそのことが”売り”になるなどとは考えていなかったのですが、”古さ”を”歴史”として捉え、館内案内図などでアピールしたところ、多くのお客さんの関心を呼び集客につなげることに成功しました。

 

経営陣や従業員のキャラクター、たとえば「社長が若くてやる気がある」といった程度のことでも、十分に”強み”となりえます。このように、様々な視点から自社を見直してみれば、これまでは全く見落としていたような特徴、気づいていなかった強みがきっと浮かび上がってくるはずです。

 

そして、強みを見いだすことができたら、それが現状で十分に活かされているのかを分析します。もし、強みをアピールできていないのなら、アピールするための戦略も併せて考えていきます。

 

これまで、活かしきれていなかった強みをフルに活用するだけでも、利益の大幅アップが期待できるはずです。

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

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大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

戦後70年を迎え、多くの中小企業に降りかかっているのが「事業承継」の問題です。 しかし、現社長のなかには景気の低迷、適当な人材の不在などの理由から廃業を考える人が少なくありません。また、社長の息子や親族などの後継…

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