グローバル化が急速に進むなか、子どもに英語のみならず、国際感覚を直接現地で身につけさせたいと考える富裕層が増えている。本記事では、数多くの留学サポートを手がける株式会社アエルワールドで海外生活カウンセラーとして親子留学を担当する北原万紀氏が、「海外留学」、「家族長期留学」等についての最新事情を解説する。今回は、北米や欧州の名門大学に進学を目指す親子におススメの「ボーディングスクール」の概要を見ていきます。

規則・礼儀・自立心・コミュニケーション能力等を育成

カナダは治安がよいことと、綺麗な英語が依然人気で、留学生の数自体は年々増えています。その中でも、 北米や欧州の名門大学への進学を目指したい学生の中には、まずカナダへ留学し、そのような名門大学進学に力を入れた学校で準備をする人もいます。カナダでは、学生の90%以上が公立校に通うため、もともと私立校の数が少ないのが特徴です。そんな中で、私立といえば上がってくるのがボーディングスクール(寄宿施設のある学校)です。

 

ボーディングスクールはもともと、両親や家族と離れ、寮生活において学業だけではなく心身を修養し、規則・礼儀・自立心・コミュニケーション能力等を育成することを目的としています。平均的にGrade7(日本の中学生1年生)くらいから寮に入ることができます。

 

多くは全寮制という意味で使われることもありますが、寄宿施設をもったボーディングスクールの中には、寮生だけでなく半数程度をDay Student(通いの生徒)として受け入れる学校が多くあります。そのため、親子留学でもボーディングを選ぶことができます。

 

また、ボーディングスクールが設定している入学の最低学年は、寮生であることを前提に設定していることもあるため、実際に通いの学生であることを伝えると、小学生、または幼稚園から受け入れしてくれるケースもあります。

 

アメリカと親和性の高い教育カリキュラムを採用

学校環境にこだわりたい留学であれば、親子であれ単身であれ、ボーディングという選択肢を検討する価値はおおいにあります。今回は、CAIS(Canadian Accredited Independent Schools)というカナダの私立学校の協会に登録されている27校を中心に、その学校の特徴をまとめました。

 

CAISは、カナダ及び世界トップクラスの大学の一つに進学させることを目的にしています。また、世界各国からの留学生を受け入れ、多様な文化の醸成を目指し、国際社会におけるイノベーション、テクノロジー、グローバリズム、創造的思考等の即実践につながる教育を提供しています。下記の学校がその基準を満たす27校です。

 

Albert College

Appleby College

Ashbury College

Athol Murray College of Norte Dame

Balmoral Hall School

Bishop’s College School

Branksome Hall

Brentwood College School

Havergal College

King’s-Edgehill School

Lakefield College School

Pickering College

Queen Margaret’s School

Ridley College

Rosseau Lake College

Rothesay Netherwood School

Shawnigan Lake School

St. Andrew’s College

St. George’s School

St. John’s-Revenscourt School

St. Margaret’s School

St. Michaels University School

Stanstead College

Trafalgar Castle School

Trinity College School

Upper Canada College

 

まず、ボーディング スクールは少人数クラスが特徴です。学校によっては、1クラスが10名以下をポリシーにしている学校もありますが、だいたい15〜20名程度が一般的です。先生1名に対する生徒の人数も8〜9名程度と少なく、先生と生徒の距離が非常に近いといえます。アメリカと親和性の高い教育カリキュラムを採用しているため、アメリカの大学への進学率も高く、その他の地域への進学も含めて、大学・カレッジ進学率は、ほぼ100%です。 また、大学進学の際の奨学金獲得が盛んです。

 

優秀な生徒が多いため、入学時に高い水準の英語力や成績を求めてくる学校も少なくありません。高校生になると授業の内容も 、通常の公立校よりも1〜2年先の勉強をしていることもあります。学年が上がるごとに入学の条件も高くなるため、できるだけ幼少期か小学校低学年のうちに受験するか、入学に向けて英語力を準備しておくほうがいいかもしれません。中には英語サポートのある学校もあり、ボーディングスクール間の転校も珍しくありません。英語に不安のある方は英語サポートのある学校へ入学し、英語力を上げてから入学条件の高い学校に転校するよう中長期で計画されると良いかとしれません。

「市民権」と「永住権」の明確な違いとは?

学校担当者によると、昨今、親が付き添ってくる親子留学は、ドクターや投資家、事業経営者のご家族が多いそうです。国籍はアジアや南米圏、ロシアなどの富裕層が多く、その滞在の目的はただの留学だけでなく、ゆくゆく家族で定住したいという目的のご家族が増加傾向にあるようです。日本人のご家族でも、実際に2〜3年計画で永住権申請に向けて準備される方もいらっしゃるとのこと。

 

弊社でもカナダの永住権申請のお手伝いをしておりますが、実は移住の際に混同されやすいのが「市民権(Citizenship)」と「永住権(PR: Permanent Residence)」です。永住権は市民権とほぼ同様に扱われますが、

 

・市民権保持者は公職に就くことができるが、永住権保持者にはできない

・市民権保持者には選挙権が与えられますが、永住権保持者には与えられない

 

という明確な違いもあります。また、永住権の場合、維持のために国内に居住しなければならない日数の条件があります。そのため、日本で事業やお仕事をお持ちの場合は、思い立ってすぐとはいかないこともありますので、移住をご希望の場合は専門家を入れた早めのご検討と、事前の計画をおすすめします。

 

さて、親子留学をきっかけとした家族移住の話をしましたが、ボーディングスクールはそもそも、親と離れて暮らす寮生活が特徴です。親子留学で数年滞在した後に親は帰国、お子さまの学校環境を維持したまま、単身留学の寮生活に切り替えることも可能です。ボーディングスクールとはいえ、その使い方はさまざまです。

 

また、寮生活が体験できる短期のボーディング・サマープログラムもお薦めです。 英語の授業だけでなく、アクティビティも含まれ、寮生活だからこそできる夕方以降のグループイブニングプログラム、そして様々な国の友人と24時間生活を共にすることができるのも、ホームステイにはないボーディングスクールの魅力ではないでしょうか。

 

【ボーディング・サマープログラム例】

Appleby Summer ESL Program 2020

対象年齢:12〜16歳

3週または4週のプログラム(CAD 5,100〜)

日本語サイト:https://www.appleby.on.ca/ourcommunity/summeresl

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